数年来、体のあちこちに病気を抱えていた高齢の母はお迎えがそう遠くないと感じていたのかもしれません。体調がいい日にはいらなくなった衣類や本を処分したり、アルバムや友人からの手紙を整理していました。
ある日のこと、ふたりで部屋の片付けをしていると、母が突然切り出しました。「私のお葬式、いまのうちに決めておいたほうがいいわ」と。自分の葬儀についてあらかじめ決めておく「事前相談」があるということは、私も聞いたことがありました。
しかし、自分や身内の死を前提に、前もって計画を立てることには相当な覚悟がいります。なにより縁起でもない、というのが誰しも抱く感想ではないでしょうか。
父は随分前に亡くなりましたが、私たちはその際に苦い思いをした経験があります。気持ちの整理がつかない中で、なし崩しに葬祭業者を決め、言われるままにすべてを任せてしまったのです。
長女である私は夫や親戚、父の元同僚の力を借りてなんとか式をやり遂げましたが、その内容は費用も含めて決して納得できるものではありませんでした。母もそのことを覚えていたのでしょう。
そんな過去の反省から、自分の時は迷惑をかけまいとしている母の気持が私にも充分理解できました。
そこで、私と母は葬儀社に事前相談をお願いすることにしました。母はみずから打ち合わせに参加し、葬祭アドバイザーの方と細かな段取りを決めていきました。
それから半年ほどで母は亡くなりましたが、事前相談をしていたおかげでスムーズに満足のいく式をあげることができました。
死を現実のものと受け止め、安らかに旅立てるお葬式を執り行なうために……。このサイトでは、私の経験を元にした事前相談のノウハウを解説しています。おすすめの葬儀社も紹介していますので、これが少しでもみなさんの参考になれば幸いです。